2月8日と12月8日に行われる伝統行事「事八日(ことようか)」は、無病息災と五穀豊穣を願う日です。
しかし関東地方を中心に、この夜には恐ろしい「一つ目小僧」が現れるという言い伝えも残されています。
今回は事八日の歴史と風習、そして一つ目小僧から身を守る魔除けの方法についてご紹介します。
事八日とは?
2月8日と12月8日に行われる事八日(ことようか)は、無病息災と五穀豊穣を願う日本の伝統行事です。
別名として八日節供(ようかぜっく)、八日待(ようかまち)、八日ぞう(ようかぞう)、事始め(ことはじめ)、事納め(ことおさめ)など様々な呼び方があり、地域によって異なる風習や言い伝えが受け継がれています。
事八日の起源は平安時代以降という説があります。
農耕儀礼と結びついていたと考えられ、旧暦では2月は「春を迎える準備をする月」、12月は「収穫を感謝し、来年への豊作を祈る月」とされ、それぞれ「事始め」と「事納め」の日とされていました。
事八日には、物忌みと呼ばれる風習があり、野良仕事や針仕事を休み、静かに過ごす習慣があります。
これは、邪気や悪霊が最も力を持ちやすい日と考えられていたため、身を慎み、災厄を避けるために行われていました。
一つ目の妖怪伝説
関東地方を中心に事八日の夜に妖怪が現れると伝わっており、現れる妖怪は一つ目小僧と言われています。
一つ目小僧は、7~8歳の童児の姿で頭に一つ目を持つのが特徴です。
2月8日の夜、一つ目小僧は山野や道で通りすがりの人をおどかしたり、家を訪れて履物に判を押していくという言い伝えがあり、判を押された家には災厄が訪れるとされ恐れられていました。
一つ目小僧から身を守るために、昔から様々な魔除けの方法が行われてきました。
- 目籠を軒先に飾る
目籠の無数の目の一つ目小僧を怖がらせ、家から遠ざける - ハリセンボンを飾る
ハリセンボンの棘が一つ目小僧を退治する - 柊や鰯を飾る:
柊の棘や鰯の臭いが一つ目小僧を嫌がらせる
地域によって、一つ目小僧以外にも様々な妖怪が登場します。
- 東北地方では、ダイマナコと呼ばれる一つ目の妖怪が伝承されています。
ダイマナコは、夜中に人里を徘徊し家畜を襲ったり、人を病気にするといわれています。 - 関西地方では箕借り婆(みかりばばあ)と呼ばれる妖怪が伝承されています。
箕借り婆は、大きな箕(み)を背負い、子供をさらって食べると恐れられていました。
このように事八日には一つ目小僧をはじめ、様々な妖怪伝説が語り継がれており、人々が自然や未知のものへの畏怖の念を表現したものと考えられます。
無病息災を願うお事汁
事八日に食べるお事汁(おことじる)は、無病息災を願って作られる具沢山の味噌汁です。別名、六質汁(むしつじる)とも呼ばれ地域によって様々な具材が使われます。
主な具材は、里芋・大根・にんじん・ごぼう・こんにゃく・あずきで、これらの具材は、それぞれ縁起物とされています。
- 里芋:子孫繁栄
- 大根:体の毒出し
- にんじん:健康長寿
- ごぼう:厄除け
- こんにゃく:難逃れ
- あずき:魔除け
作り方は、野菜をだし汁で煮て味噌で味付けするだけ。
お事汁には、魔除けと養生の効果があるとされており、野菜の栄養素が豊富に含まれているだけでなく、味噌の抗酸化作用も期待できます。
事八日に家族で温かいお事汁を食べることで、無病息災を願うとともに、冬の寒さを乗り越えるための栄養補給にもなります。
伝統行事を楽しむ
2月8日と12月8日に行われる事八日は単なる妖怪退治の日ではありません。
無病息災を願う日本の大切な伝統行事で、地域によって様々な風習が受け継がれており、その奥深さに触れることで日本の文化や歴史を身近に感じることができます。
事八日の楽しみの一つは、やはりお事汁です。
里芋、大根、にんじん、ごぼう、こんにゃく、あずきなど、縁起物とされる具材をたっぷり使った味噌汁は、心も体も温めてくれます。
家族で力を合わせて作ることで絆を深める効果も期待できますね。
事八日は、伝統的な風習を楽しみ家族で温かい時間を過ごす絶好の機会、地域に根付いた文化に触れ、無病息災を願うとともに日本の伝統の大切さを再認識してみましょう。
香川県・小豆島の妖怪美術館
小豆島にある妖怪美術館では、毎年2月8日の「事八日」に、無病息災を願う「お事汁」を無料で提供(なくなり次第終了)。
心も体も温まるお事汁を味わって、無病息災を願いましょう。
妖怪美術館は、小豆島で900体を超える妖怪造形作品を展示する美術館です。事八日には、無病息災を願うお事汁を味わうだけでなく、個性豊かな妖怪たちと出会うこともできます。